閑散記

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百鬼夜行シリーズ『姑獲鳥の夏』から『鉄鼠の檻』までの備忘録的感想(ネタバレあり)

京極夏彦先生の『姑獲鳥の夏』からはじまる百鬼夜行シリーズも『絡新婦の理』まで進みました。読みはじめる前に、これまでのシリーズの感想を備忘録的にまとめたいと思います。

まず、このシリーズは志水アキ先生のマンガ『魍魎の匣』から入りました。

魍魎の匣 1 (怪COMIC)

魍魎の匣 1 (怪COMIC)

 

それ以来、他のシリーズのマンガも追いながら、原作にハマっていきました。

読みはじめた順番はこうです。

  1. 魍魎の匣 (①2012.7.3あたり、②2014.7.7~7.14)
  2. 姑獲鳥の夏(2014.6.16~6.20)
  3. 狂骨の夢 (2014.7.20~7.26)
  4. 鉄鼠の檻 (2014.12.7~2015.1.3)

姑獲鳥の夏』と『魍魎の匣』が逆だったので、後になってからきちんと順番通りに読み直しました。やっぱり順番通りに読むとおもしろさが増しますね。順番が大事。

それでは、ひとつずつ作品の感想を、読了後のツイートを参考になるべく読みたての気分で書いてみたいと思います。

 

姑獲鳥の夏

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

 

 ツイートを参考にしようと思ったのですが、全く参考にならないようなことしかつぶやいていませんでした……。たしかに、2人はどうやって結婚までこぎつけたのかずっと気になってはいますが!ずっと妊娠し続けている人のことも気にしてくれ!

あとは、こんなことです。妊娠やら出産やら浮気やら体外受精やら生殖器がないやら月経やらイタズラやらでこんなことを思ったのかもしれません。

姑獲鳥の夏』は、後味の良いものではありませんでしたが、スピード感があってすごくおもしろかったです。長いけれど無駄なところがないと感じました。藤牧さんの姿が見えていなかっただけという事件の真相は全く予想出来ませんでしたし、そんなのありえる?と思いましたが、この世には不思議なことなど何もないと思えてしまう。このシリーズの虜になってしまいましたね。ダチュラという植物の存在もその時代の雰囲気や、怪しげな世界観を、より色付けていると思いました。

マンガもおすすめです。

姑獲鳥の夏 1 (怪COMIC)

姑獲鳥の夏 1 (怪COMIC)

 

 

魍魎の匣

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

 
1回目は、初、京極夏彦作品で四苦八苦していたようです。

文章に若干の昔感があって恥ずかしいですが、「京極堂が言ったことを理解しかけるも関口君の反論で訳が分からなくなるみたいな現象」という部分、我ながらいいですね。このシリーズを読んでいていつも思うことです。京極堂の薀蓄は、ワロエナイくらい理解力のない人間には大変なんですよ。でもなんとか頑張って食いついていっています。

この作品は、ストーリーももちろんおもしろいのですが、久保竣公という人間がとてもいいと思います。「みっしり」させたり箱に少女を詰めてみたり自分で詰まってみたり変な人ですが、本当にキャラが立っていると思います。マンガのデザインはとてもよかった……。

頼子が加菜子を突き落した動機のあたりで、京極堂が、一瞬のなんとかかんとかで人を殺してしまうことがあると言っていましたよね?動機はその後だと。たしか、魔が差すというようなことだったと思います。衝動的な殺人のニュースを見ると、いつもこの作品を思い出します。出会ってよかった。

ちなみに、わたしの『魍魎の匣』はこれです。

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狂骨の夢

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

 

 不安がってますね。先に読んだマンガ版でも1巻まるまる京極堂どころか関口君も出てこなかったのですが、覚えていなかったようです。

それに、この作品はあまり評判が良くなかったのが不安でした。しかし、個人的にはかなり好きな作品です。今昔、右左、宗教、朱美さん、さまざまなことがバラバラでした。首もバラバラ。バラバラなのにまとまるところに壮大さを感じました。またしてもありえなくない?という事件の真相でしたが、この世には不思議なことなど何もないのです。

そして、これです。

 どうにも、性の話が気になってしまうようです。この作品は、特に多かったですからね。性の話も多いしだいたい殺伐としているので、榎さんが癒しでした。性の話はマンガで読むとすごい迫力ですよ。 

狂骨の夢 1 (怪COMIC)

狂骨の夢 1 (怪COMIC)

 

 

鉄鼠の檻

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

 

 読みはじめはこんな感じです。今回京極堂は、お仕事してましたからね。しかし、それでよかったと思います。禅の話も難しいし、京極堂の話も難しかったら、それこそ理解力が大変なことになっていたと思います。

 読み終わりはこんな感じ。マンガ化決定は『絡新婦の理』なので間違いなのです。またしても、「性」という言葉が……。どんだけ気になるんだ。この作品には、『姑獲鳥の夏』のイタズラの人、菅野さんが出ていますからね。それに、久遠寺病院の先生も出ています。物語ってこうやって続いているからやっぱり順番通りに読むのがいいですよね。『姑獲鳥の夏』の事件が少しでも救われてよかったです。

 本当に坊主ばかりでしたね。きれいな坊主やらなんやらで。千石楼の庭に胡坐を組んだ死体が現れたとき、想像したら結構シュールだなと思ってしまいました。すみません。

この話を読んで以来、お寺の宗派に目が行くようになり、得意気に曹洞宗臨済宗禅宗だからねなんて薀蓄を披露することがあります。勉強させてもらいました。

この話も、マンガで読んでみたいです。坊主ばっかりで描き分けるのが大変そうですが。

 

最後に

こうやって振り返ってみると、不思議な話ばかりですね。しかし、京極堂は「この世に不思議なことなど何もないのだよ」と言う。わたしとしては、こんなにおもしろい作品を書けることが不思議でしょうがないです。

そういえば、他に、堤真一京極堂役の映画も2本見ました。『魍魎の匣』の久保竣公の部屋でのシーンが血みどろで怖かったです。でも、やっぱり実写にしてしまうと、不思議ではないはずのことが不思議なことに感じてしまう。おもしろくはありましたが、どうしても空気が違うように思いました。しかし、久保竣公役は及川ミッチーだと思っていたというフォロワーさんの言葉には、何か隙間が埋められるような感覚が!

以上で、感想は終わりです。

思ったことを簡単にまとめただけですが、なんだかスッキリしました。『絡新婦の理』から先の作品も楽しみです。筋トレ頑張ります。